伊豆在住ライター小林ノリコの伊豆グルメ情報+∞ (仮)

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「上を向いて歩こう症候群」はもうやめよう! 長谷川幸洋さんが警鐘を鳴らす「記者のあり方」

咳がなかなか収まらず、土曜・日曜は自宅で家事をして過ごしました。週末はいつも、たまった家事をしながら、好きなラジオ番組をポッドキャストで聴き直しています。

先週のニッポン放送『ザ・ボイス そこまで言うか!』スペシャルウィーク

「歪んだ報道にだまされるな!」という特集が組まれており、なかでも、ジャーナリスト(東京新聞論説副主幹)の長谷川幸洋さんのお話がとても印象に残りました。

長谷川さんが疑問に感じたという、朝日新聞の「米国のシリア空爆」報道記事(※1)の問題から話が発展。

リスナーからの「新聞記者は保身のために記事を書いているのでは? 読者のために記事を書いて欲しい(要約)」というメールを受けて、「新聞記者ほど、自分のお客さんの方に顔を向けていないサラリーマンはいない」と、とても厳しい発言をされました。


先出の朝日新聞の報道記事が書かれた要因について、長谷川さんは

●事実を軽視している、自分たちのスタンス(立場)が優先になっている
●新聞記者たちが上司の顔色を見るようになった

という二点の問題を指摘しています。

特ダネ記事を抜くか抜かれるかの世界ゆえ、同業他社の動向にばかり気を取られるようになったのも一因。これは、10月20日(月)に放送されたTBSラジオ荻上チキ・Session-22の特集「誤報の大研究」でも、誤報に発展する原因のひとつとして話題に上っていました。

また、「記者<デスク<部長<局次長<局長<役員<社長」という図式で、会社のみんなが上司の顔色を見て仕事をしているのも問題だと言っています。


「読者の方を向いてない。だから朝日新聞みたいな問題が起こるのです」


長谷川さんは、ジャーナリストはもちろん、メディア企業すべてに対して警鐘を鳴らしています。

「こういう人たちがメディア企業には本当に多い。『俺は記事を書く。読者はそれを読め。気に入らなかったら読んでもらわなくて結構』という記者が多いんですよホントに。みんな上を向いてヒラメみたい。上を向いて歩こう症候群”なんですよ」。

朝日新聞OGのジャーナリスト、下村満子さんも「うちの社員はみんな“上を向いて歩こう”だ」とおっしゃっていて、ほかのかたからも同じようなことをよく聞くのだそうです。
「社内のチェック機構がうまく働かないのは、上を見ている社員ばかりだから」と、長谷川さん。

それではユーザーが離れていくばかりですよね。こうやって新聞報道、ひいてはメディア自体への不信感が蔓延しているなか、一体どこを向いて仕事をするのか。それはメディアに関わっている人、一人ひとりのモラルと信念にかかっているのではないでしょうか。


長谷川さんは、所属している東京新聞の論調とは正反対の発言をされることでも有名な方です。
「もし僕が視聴者(読者・有権者)のことを考えずに、こんな発言していたら、あっというまに出番がなくなる。連載コラムも一回一回が勝負です。そうでなければ、こんなに連載や公演などのオファーが来るわけがない。読者を向いて仕事をするしかないのです。それが資本主義のビジネス社会であるということを、新聞業界の人はわかっていない。このギリギリ感のなかでどこを向いて仕事をするか。これがわかってないというところに、日本のメディアの最大の病根があると思う」(要約)

常々「私は新聞の読者です」とおっしゃっている長谷川さんならではの視点です。
私は新聞記者ではなく、雑誌や書籍の仕事が多いライターですが、今回の長谷川さんのお話にはとても深く共感しました。
ここ何年か、“誰に向けて書いているのか?” “誰のために書くのか?”を考える機会に出くわすことが多かったので、自分の気持ちが間違ってなかったことが再確認できました。


((※1 長谷川さんは『現代ネット』にも同様のコラムを上げています。


朝日新聞はまだ懲りないのか!? 「米国のシリア空爆」でも「ねじ曲げ」報道 | 長谷川幸洋「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]