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伊豆在住ライター小林ノリコの伊豆グルメ情報+∞ (仮)

毎週火・木曜更新。 covanonwriting.themedia.jp/

SCHAFT/EX THEATER ROPPONGI公演のライブレポート(ものすごく私的な内容)

 22年ぶりに再始動した、今井寿さんと藤井麻輝さんのユニット、SCHAFT。ライヴツアーの関東公演のうち、横浜ベイホールとEX THEATRE ROPPONGIの2公演を見た。

今回の公演を見て一番驚いたのは、なんといっても、1stアルバム『SWITCHBLADE』の楽曲をセットリストに入れたことだった。

大変失礼ながら、お小遣いの関係で、実はまだアルバムも雑誌も買えていないのだけど、公式サイトの先行試聴を聴いた時、前作とはまったくカラーの違う楽曲ばかりだったので、「ああ、やはりライヴでは、2ndアルバムの曲しか演奏しないのだろうな」と思っていた。

だから、ライヴで1st収録曲「Arbor Vitate」のイントロが流れたとたん、「まさか!」と思った。同時に「ひえええ!このヴォーカリストになんちゅー重荷を背負わせたんだ!」と驚愕。メインメンバーふたりのサディストぶりに、本気で恐れおののいた。

 

どの業界でも「2代目」「後継者」という立場はとても窮屈で、自分の色をつけにくいものだ。前任者がバンドのカラーを決定づけていた人物であればあるほど、後任者が受け入れられるには、その人物に本当の実力があるかどうかに加えて(後任者のキャラクターも重要だが)、相当の努力が必要だ。 

もし、前作の雰囲気を壊さないように歌ったら、「レイモンド・ワッツのモノマネ、上手ですね(棒)」とも取られかねない。

もし、自己流で自由に歌ったら「イメージをぶち壊しやがって!」と、古参のファンが離れていく。

ヴォーカリストに本物の実力がないと、このライヴ全体の評価にかかわる問題になるだろう。その重荷を!こんな!(年齢知らないけど)若い子に! 聞けばYOW-LOWさん、自身のバンド(GARI)の活動を休止してSCHAFTに専念しているというではないか。相当の覚悟と意気込みを持って加わったであろう彼のことが、何だかものすご〜く気になったのだった。

 

そんなわけで、横浜ベイホール公演を観たとき、失礼ながら1st収録曲を歌う彼を、ちょっぴり厳しい目で見ていた(いわゆる「1st厨」なので)。

ベイホールの音響が悪すぎたのもあって、かなり違和感があり、あまり良い印象を持たなかった。しかし東京での最終公演となったEXシアターでは、前作の楽曲の雰囲気を壊さず、とてもバランスの良い歌い方になっていたと思う。

2日間の公演を見て、なぜこの人を「2016年のSCHAFT」のヴォーカルに決めたのか、なんとなく謎が解けてきた(事実確認なしでは書きたくないので、心の中に留めておく)。

 

やはり、後半の2戦(リキッドルーム、EXシアター)のセットリストに「Broken English」(1st収録曲)を投入したのが良かったのではないか。さっきまで低音で吠えるように歌っていた彼が、女声と聴き違えてしまうほどの優しいファルセットで、このマリアンヌ・フェイスフルの名曲を歌い上げた。この一曲を投入することによって、ヴォーカリストとしての引き出しの多さとポテンシャルの高さを証明することができたのではないかと思う。

「あっ、一皮むけたんだな」

と、思わずニヤリとしてしまった。

 

やはりYOW-LOWさんご自身も、そう実感したのではないかと。ライヴの終盤で、「これが2016年のSCHAFTです!」と言った時の彼の表情はとても清々しく見えた。

バンド全体もそうだけど、このヴォーカリストにとって、1stアルバムの壁を超えることが一番の大きな課題だったのではないだろうか。お客様は耳の肥えた大人の音楽ファンばかりだし、そもそもSCHAFT自体が音楽業界内で注目を集めているユニットだ。その重圧たるや、私のような凡人には想像もできないくらい、キツいものだったと思う。

その高い壁を承知で、上田さんもyukihiroさんも参加を快諾したのだとしたら、それはものすごく……「惚れてまうやろーーーーー!」っていうレベルの話だ。 

 

そんな事をグルグル考えていたら、「22年ぶりにSCHAFTのステージを観たよ!」という感動よりも、

「ものすごいプロフェッショナルの魂を観た」

という感動が心の中にドドドドドッと押し寄せてきた。22年も待って良かった。これはもう言葉にできない……何ていうか、すごく幸せな気持ちだ。

っていうか……気づいたら、YOW-LOWさんの感想に終始してしまったなあ。彼のことは今回のステージで初めて知ったんだけど、俄然興味が沸いてきた。まだまだたくさん聞きたいことがあるんだ!誰か!インタビューさせてくれ~!

 

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